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「パッチワーク・ドールズ」一周年!/メタルマックスの話


 メタルマックスシリーズ最新作、「メタルマックスゼノ」の発売もいよいよ迫ってきましたね。4月19日がたのしみ。

 ……まさかゼノをご存知ない?

 このブログ読んでる方なら、とりあえず公式サイトを見るといいと思います。

 

 さて。

 KANOTOSOFT第三作となるフリーゲーム、「パッチワーク・ドールズ」が4月8日で公開一周年を迎えました。めでたい!

 既に一作目「First Fantasy」の五年分に迫るDL数があり、アンケートによる評価も概ね好感触を得られているようでなによりです。(アンケートご協力頂いた方、ほんとうにありがとうございます!)  本作からメタルマックスを触れてみた方からのコメントも頂いたり、制作者冥利に尽きるというものです。

 それで、ここから何を書くかっていうと。

 ゲーム紹介はパッチワーク・ドールズ公式ページを見て頂くとして、キャラとか設定とかのことをなんとなく書いて行けたらいいかなと思います。つらつらと。  イメージとしては、漫画単行本の柱とか後書きとか表紙裏とかのアレです。

 公式ページにこういうこと書けないし、ツイッターじゃ分量が多いなと出す機会無かったんですよ。  ちょっと多めだけどお付き合いください。

「○○である」ってネタバレはありませんが、「○○ではない」ってことは書いちゃうので、自分で推理しながらプレイしたいタイプの未プレイ者は気にした方がいいかもしれません。そうでなければ、たぶん支障はありません。

 

◆世界観のこと

 ひとことで言うと本作の舞台は、「ポストアポカリプスが起きた世界ではあるけれど、人類がアポカリプスを克服しつつある平穏な時代」です。

 本作、誰がどう見てもメタルマックスの影響が大きいんですが、この点に関してはわりとわたしのやりたかった世界観がうまく出せたと思ってます。

 そもそもRPGの世界って、わりと景気が悪くありませんか。

 近頃なにか様子がおかしい、不穏だ、モンスターが増えている、悪い予言は出るわ不吉な出来事が起きるわと最近悪化していることが示されるケースが多い、というのが体感です。

 その不安要素の集大成がラスボスなんだから、まあ当たり前なんだけど。

 とにかくわたし、「そろそろ景気が良くなってきた」って言ってる世界を人知れず救う話にしたい、と。特定の英雄が世界を大きく持ち直させたんじゃなくて、名もなき人たちが作った成功を邪魔させない、と。そう思ってゲーム作ってるとこあります。

 じつは一作目「First Fantasy」でも同じことをやろうとしてたんですが、表現が追いついていたか自信がありません。「パッチワーク・ドールズ」に来てようやくやろうとしたことがうまく表現できたかな、と思っています。

 

◆主人公

 デフォルトネーム「ルリ」の少女。  きちんと設定を固めていませんが、おそらく10代前半~半ばの少女。

 裁縫師の家に生まれながらも、人形遣いの浪漫に憧れて冒険に出てしまうお転婆な女の子です。

 彼女の造形はメタルマックス第一作の主人公(通称『はんた』)です。 「人形遣いになる」ことそのものが目的なのでその後は自由であること、本人は何のしがらみも因縁も持っていないこと。  この二点をスタートに、肉付けをしていきました。

 主人公は、まったくと言っていいほど特殊な出自がありません。

 じつは何か縫壊に関わる人物の血を引いているとか、そういうの何にもありません。本筋に関わらないごく一部の技能を除き、ほぼ全くの一般人です。 (ついでに言うと、最初に手に入れることになる魔装人形も別にオーバースペックのとんでもない機体とかじゃないです。ごくごく平均的な普及品です)

 そのため、主人公は平均的な「現代の子供」として周囲から見られることになります。

 ときに内乱の時代を知る人、縫壊直後の時代を知る人、彼らは主人公の態度や目つきが非常に美しい、と褒めることがあります。

 でも、べつにそれは主人公個人のことじゃなくて。  彼らが評価しているのは、この時代そのものです。

「世界観」でも書いたけど、この世界は確実に良い方向に進んでいます。  昔を知る人物たちは、主人公を通してこの時代が良くなったことを感じ言及しているのです。

 

◆ルヴィア・フェンデル

 主人公のお兄ちゃん。二十代前半にして裁縫屋を切り盛りする若者。  初期案では「ジョー」という名前でした。  妹と合わせて浄瑠璃。……妹の名前変えるとワケがわかんなくなるのでやめたのです。

 メタルマックス第一作における、父と姉の両方の役割を担う人物。  タダで機体を修復してくれる、という修理屋の父ちゃんのポジションになるため、裁縫師となる設定は最初期から決まっていました。  しかし、キャラクター性はわたしの好みを思い切り詰め込んでます。  言っちゃうと、理想のお兄ちゃん像。

 ルヴィアは妹を溺愛し、少々過保護とも言えるほど愛情を注いでいる青年です。  しかし一方、自分が妹の枷になったり重荷になったりしてしまうかもしれないと思い悩み、常に行動を自問している部分があります。  黙って冒険に出かけた妹を叱り、心配しながらも、「自分が不安だからといってお前の行動を制限したくない」といって許してくれる。ひとたび許すとなったら、なかなか手に入らない道具をぽんとくれて、無茶をしたときに安全を確保できるように全力でサポートしてくれる。  人形全員が戦闘不能になったとき、自動的に自宅に戻るのもルヴィアの仕組んだことです。

 帰るたびに歓迎してくれてタダで回復してくれる上に、ちょっとお小遣いもくれるお兄ちゃん。プレイヤーの皆さんからは概ね好感を得られているようで嬉しい所です。

 

◆ハンス・アルベール

 影のある、凄腕の賞金稼ぎ。

 名前は人形作家のハンス・ベルメールが由来ですが、劇中で出したかはちょっと記憶にありません。……出してないかも。出してないなたぶん。

 通称として知られている「アルベール」は苗字です。

 由来は実在した彫刻家、アルベール・マルク。デザイナーのマルゲンヌ・ラクロワと共に高名な人形「マルク」を作った人物です。  ちなみにこのときモデルになった少女の名前はシャルロット。

 メタルマックス第一作における、レッドウルフのポジションの人物です。  大筋はレッドウルフに似ているようで、かなり設定は異なっています。

 アルベールの設定はいくつか存在し、最終案が出るまではかなり悩みました。  当初はもっと救いが無いものや、レッドウルフ以上に悲惨な運命、彼のやってきたことが全て報われないという結末さえ考えていました。一方、現在の案とは全く異なり、「祖先の願いをかなえようとしている一介の青年」という案もありました。  現在の案は影こそありますが、わたしはこの結末しかなかったなと思っています。

 台詞を書くときには、レッドウルフ本人はもちろん、ブラックジャック先生や「蟲師」のギンコをちょっと意識しました。厳しい現実を知るクールな青年だけど、なかなかどうして人がよく、子供相手に「お前さん」と語りかけるような。

 アルベールは主人公にとって命の恩人ですが、とくにそれ以上の関係はありません。 (途中何度か血縁を持たせたくなった)(ふみとどまった)  また、ラスボスとも関係を持たせようかと考えたこともあるけれどこちらもやめました。レッドウルフ、ノアに対して特になにか意識してなかったし。

 

◆地名について

 とくだん伏せてはないですが、ぜんぶフランス語。

 町の名前は動物。エキュロイユ(ecureuil)。  野外名は縛りはありません。クラヌ(crane)。

 ――――縛りは無いけど、野外の名前はかなり偏った内容になっています。  カタカナ表記という問題もあるので気づく方は少なかったけれど。

 

◆メタルマックスについて

 本作をプレイした上で未プレイの方いたら、ぜひ一度手に取ってみてほしい作品です。あなたほぼ確実に好きですよ!

「大破壊」で崩壊した後の世界を舞台に、戦車を駆るハンターたちが狂った機械や悪党をぶっとばしていくゲーム。  とにかく自由度が高く、ストーリーを追うというよりは

・先に突き進む

・賞金首を倒す

・賞金で戦車を強化

・戦力の限り先に進む

 という流れでずんずん進めることができます。

 魔装人形というガジェット、世界観や台詞の雰囲気はともかく、「パッチワーク・ドールズ」の骨格はほぼメタルマックス。ほんとに、わたしの紹介ページでパッチワーク・ドールズに興味を持つタイプの人はかなり適性が高いと思います。ぜひぜひ。

 

◆メタルマックスをプレイするなら

 (飛ばされないように)冒頭でも書きましたが、来たる4月19日にシリーズ最新作「メタルマックスゼノ」がPS4とPSVITAで発売されます。  望月は既に初回限定版を予約済み。みんなも一緒にやろうぜ!

 今回は原点回帰ということで、メタルマックスが初めてという方でも問題無い――――ように見えます。ほぼ間違いなく。  そもそもこのシリーズ、繋がりはほぼゼロなのでどこから始めたって大丈夫。

 また、3DSのバーチャルコンソールでファミコン版の初代が514円で販売中です。

「パッチワーク・ドールズ」に一番影響を与えているのもこの初代なので、プレイしてみると違いがわかって面白いかも。「こいつガルーダじゃん!」とかなりますよ。

 操作性はどうしてもレトロですが、十分かっこいい戦車の活躍とイカす音楽は現代でも十分通用すると思います。  わたしが最初にさわったのも、この3DSのVCでした。これで一気にはまったのです。

 プレミアがつきつつあるけれど、最も安定して勧められるのがDSの「メタルマックス2リローデット」。SFCのリメイク作品ですが、このリメイク調整がたいへん素晴らしい。メタルマックスシリーズというか、単に一作のRPGとして優れたゲームバランスを持った名作です。  DL販売で確実に入手できる、3DSの「メタルマックス4」。3Dモデルは少々人を選ぶかもしれませんが、プレイしてるといつものメタル感が出てきます。戦闘やクエスト周りのシステムは随一洗練されているため、プレイしやすさではトップクラス。

 この二本も安定してお勧めできます。

 どれからやってもいいシリーズですが、DSの「メタルマックス3」は初めに触れるのは個人的にはお勧めしません。シリーズのファンだからこそ楽しめる要素が随所にちりばめられているので、最初に触れるべきではないというより別の作品を触れてからの方が楽しめる、という印象があります。  もちろん、3からメタルマックスに入ってハマっているファンもたくさん知っているので、パッケージの雰囲気に惹かれたなら3から入るのもアリだと思います。

 最後に、フリーゲームとしてメタルマックスの雰囲気を再現してる傑作「フルメタルパンツァーズ」をご紹介しておきます。

 RPGツクール2000を使って制作されたゲームですが、ハードの制約の中でメタルマックスらしさをフルに発揮しているおそるべき作品。

 ファン作品ではあるものの、原作を全く知らなくても大丈夫。二次創作というよりは、ローグライクならぬ「メタルライク」な作品です。

 ここからハマった方も何人か知っています。ゲーム購入に踏み切れない、3DSもVITAも持っていないという方はぜひ触れてみることをおすすめします。

 

 今夜のおはなしはここまで。

 一周年記念の自作語りとメタルマックスの宣伝を一緒にすることになっちゃいました。しかし、本作とメタルマックスは切っても切れないのでやむをえないでしょう。ということにしといてください。

 ぜひ読者の方のうち少しでもメタルマックスに興味を持ってくれたら、ファンとしてたいへんうれしい限りです。

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書いた人

望月すすき。​

音楽とドット絵、たまにゲーム。

色々つくってる趣味人です。

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